相続放棄について
相続放棄には期限内(3ヶ月以内に行う)相続放棄と、3ヶ月を越えた相続放棄があります。
相続放棄が無事に受理されても、債権者に通知をしたり、残った財産の管理義務が発生したりと、さまざまな対応に迫られることがあります。
ここでは相続放棄に関するあらゆる疑問や対応方法を掲載していますので、相続放棄を検討されている方はぜひご確認下さい。
相続放棄に関するすべてのご相談は初回無料、全国対応致します。
相続が発生した場合、「誰」が「どれぐらい」相続するのかは、以下のように定められています。
<法定相続人>
*子、親、兄弟姉妹には以上のように相続人となる順位が決まっていますので、「子と親」「子と兄弟姉妹」など「順位が異なる人」が同時に相続人となることはありません。
相続の順番については、第一順位が居ない・または第一順位全員が相続放棄をした場合に第二順位に、第二順位が居ない・または第二順位全員が相続相続放棄をした場合に第三順位へとそれぞれ移っていくことになります。
<法定相続分>
*配偶者が存在しない場合の第一順位から第三順位相続人ひとりあたりの相続分は、相続財産全体を人数で割ったものになります。
相続人の認定(誰が相続人であるかの判断)をする際、代襲相続が発生しているかどうかには注意が必要です。
代襲相続とは、本来相続人となるべき被相続人の子(第一順位相続人)や兄弟姉妹(第三順位相続人)が、被相続人よりも先に死亡している場合に、その者の子が代わって相続人となることを言います。
第一順位の代襲相続の例として、AにBという子とCという孫が居たとしましょう。
この状況でAが死亡した場合、本来相続人となるのは子のBになりますが、BがAよりも先に亡くなっている場合は、孫のCが法定相続人となります。
*(Bが存命で相続放棄をした場合はCに相続権は移らず、第二順位や第三順位の相続人が法定相続人になります。)
では、第三順位の代襲相続の場合はどうでしょうか。
例を変えて、Aには子供がなく、両親も既に亡くなっており、弟のXとXの子であるY(Aから見ると甥・姪)が居たとしましょう。
この場合、本来相続人となるのは弟のXですが、XがAよりも先に死亡している場合は、甥や姪のYが法定相続人となります。
*(Xが存命で相続放棄をした場合はYに相続権は移らず、他に相続人が居なければ「相続人不存在」となります。)
このように、代襲相続が発生した場合は、被相続人と関係性の遠い人が相続人となるため、特に甥や姪の場合は「そもそも自身が相続人であることに気づかない」とか、「なぜほとんど交流のなかった被相続人の相続に巻き込まれるのか」と親族間のトラブルに発展するケースもあります。
そのため、自身が相続放棄した場合、次は誰が相続人となるのかを判断し、予め連絡をしておいてあげるなどの配慮も必要となることがあります。
相続放棄は被相続人(亡くなった方)の財産(プラスもマイナスも含めて)をすべて引き継がないという手続きです。
相続財産のうち、負の遺産(借金などマイナスの財産)の方が大きい場合に手続きをされる方がほとんどですが、中には「実家(戸建てやマンション)を相続したくない」、「関わりたくない」、「他の相続人にに財産を相続させてあげたい」という理由から相続放棄を選択される方もいらっしゃいます。
よく「相続放棄は借金がないと出来ない」と思われている方がいらっしゃいますが、プラスの財産しかない場合であっても手続きをすることが可能です。
相続放棄が受理されると、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書という書類が発行され、その相続人は「初めから相続人ではなかったとみなされる」事になりますので、以後相続の手続きに関与する必要も、被相続人の借金や未払いの税金を払う必要もなくなります。
また、相続放棄をした場合は遺留分を請求する権利も当然になくなってしまいますのでご注意ください。
相続放棄には手続きが出来る期限が決められていて、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所にて手続きを行うことで効果が生じます。
数多くご相談を受けていると、「何も貰っていないから相続放棄している」、「他の相続人に対して「相続放棄する」と言ったから相続放棄している」と思われている方もたくさんいらっしゃいますが、民法第938条には「相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない」と定められていますので、それ以外の方法をとったとしても、それは法的には相続放棄をしたことにはなりませんので注意が必要です。
相続放棄をするには、必要書類を集め、管轄の家庭裁判所に提出をする必要がありますが、ご自身で手続きをすることも出来ますし、弁護士や司法書士に依頼することも可能です。<ご自身で手続きを考えている方はこちら>
弁護士や司法書士に依頼した場合、平均的な費用は5万円前後(3ヶ月の期限を過ぎてしまった相続放棄の場合は10万円前後)となることが多いようですが、戸籍や郵送代などの実費は別清算となるような事務所もありますので、依頼する場合は「この費用でどこまで手続きしてくれるのか」をしっかりと確認するようにして下さい。
必要な書類を集め、管轄の家庭裁判所に相続放棄の申述をすると、受理(相続放棄を認める)か不受理(相続放棄を認めない)、いずれかの審判が下されます。
無事に受理されればめでたしめでたしですが、不受理となった場合はどうなるのでしょうか。
相続放棄の審理は「被相続人一人に対して一度きり」しかなされないため、一度不受理と言う結果が出てしまうと、その後あらためて同じ相続についてもう一度相続放棄を申し立てることは出来ません。(結果が出る前に取り下げた場合は再度申立てが出来ます。)
その結果、被相続人の資産や負債のすべてを相続することとなります。
しかしながら、「莫大な負債がある」という理由で相続放棄を申立てている場合、不受理と言う結果は相続人のその後の人生にも大きな影響を与えてしまいますので、多くの場合は家庭裁判所から「このままでは不受理になりますよ。一度弁護士や司法書士などの専門家に相談されてみてはどうですか?」と連絡があるようです。(連絡がない場合もあります。)
こういった連絡があった場合は、一旦相続放棄の申立てを取下げるなどして、あらためて相続放棄を申し立てることになりますが、それまでにある程度の時間が経過してしまっていますので、3ヶ月以内に再申立てが出来るかどうかの問題が出て来てしまう場合があります。
そのため、専門家に依頼せずご自身で相続放棄を申し立てる場合は、出来るだけ余裕をもって申し立てることをお勧め致します。
相続財産を何も受け取らないための方法はいくつか存在します。
「相続放棄するにはどうすればいい?」でも解説したとおり、「他の相続人に対して、私は相続放棄すると伝える」こと(権利の放棄)も一つの方法ですし、「相続人間の話し合いで、特定の相続人にすべての財産を相続させると決定する」(遺産分割協議)というのも一つの方法です。
これらの行為は、資産を何も受け取らないという点では民法に規定されている相続放棄(法律上の相続放棄)と同じ効果があり、「事実上の相続放棄」と呼ばれることがあります。
しかし、「相続放棄」という呼ばれ方であっても、事実上の相続放棄は、以下の点で法律上の相続放棄とは異なりますので、必ず違いを理解したうえで対応するようにして下さい。
・事実上の相続放棄は、相続を承認したことになる。
・事実上の相続放棄の対象になるのは資産のみであり、負債を対象にすることは出来ません。
特に、「事実上の相続放棄」では負債を放棄することはできないことは必ず知っておいて下さい。
ではなぜそのようになってしまうのかについて少し解説致します。
事実上の相続放棄は相続を承認したうえで、自分が持っている権利を放棄する(他の相続人に譲渡する)ことになりますが、このような行為は相続人間のみの話し合いでなされることが一般的です。
仮に相続人間の話し合いだけで、「一番返済能力が低い(または低いと思われる)相続人が負債を返済していく」と決まってしまった場合に、債権者もその決定に従わなければならないとなれば、債権者はどう思うでしょうか。
当然、「そのような決定は認められない」と言いたくなる場合も出てきてしまうでしょう。
このように、相続人間の話し合いに参加できない債権者を一定程度保護する必要があるため、負債の放棄は法律上の相続放棄にしか認められていないということになります。
既に事実上の相続放棄をしてしまっている場合、原則として法律上の相続放棄をすることはできませんが、事実上の相続放棄をするに至った経緯(負債はないと聞かされていた、(法律上の)相続放棄のための書類と言われてサインした等)によっては、相続放棄が受理されるケースもあります。
もちろん通常の相続放棄とは異なり、難しい手続きとはなってしまいますが、このようなお悩みを持つ方は、ぜひ一度無料相談をご活用下さい。
被相続人が遺言書を残して亡くなった場合、相続人は相続放棄が出来るのでしょうか。
例えば、相続人として子A、B、Cの3人がいた場合(法定相続分はそれぞれ3分の1ずつ)で「すべての財産をAに相続させる」という遺言書が残っていたとしましょう。
このような場合、財産のすべてを受け取るAはもちろん、何も受け取らないB、Cもそれぞれ相続放棄することが出来ます。
では、同じ場合で「Aに2分の1、Bに6分の2、Cに6分の1ずつ相続させる」といった法定相続分と異なる内容の遺言書が残っていた場合はどうでしょうか。
このような場合であっても、A、B、C全員が相続放棄をすることが出来ます。
つまり、遺言書があっても相続人は相続放棄することが出来るということになりますが、どのような内容の遺言書があったとしても、負債は法定相続分どおりに相続されることになりますので注意が必要です。
一つ目の例の「すべての財産をAに相続させる」というような遺言であれば、何も貰えなかったB、Cとしては「自分たちは1円も貰えないのだから、負債もすべてAが払うのが当然だ」と考えてしまいがちですが、債権者に対してそのような主張をすることは出来ず、請求されてしまえばそれぞれ法定相続分の3分の1ずつは支払わなければなりません。
また、被相続人が「すべての財産をAに相続させる。負債もすべてAが支払うこと」と負債についても遺言で指定した場合であっても、やはり負債は法定相続分どおりに相続されることになります。
これは、「事実上の相続放棄」で負債を放棄することはできませんでも説明したとおり、債権者を差し置いて相続人達の 間だけで負債の扱いについて決めることは出来ないためです。
以上のように、遺言書が残っていた場合は負債についての注意の他に、遺留分の問題なども出て来ますので、「何も貰えないから関係ない」と判断する前に一度専門家への相談をご検討下さい。
このサイトをご覧の多くの方が「相続放棄は自分でできないのか?」という疑問をお持ちではないでしょうか。
ここでは「相続放棄は自分でできるのか」、「自分で手続きする場合の注意点」などをご説明いたします。
相続放棄を行うには、「相続放棄申述書」(家庭裁判所のホームページからダウンロードもしくは窓口で交付)に必要事項を記入し、それぞれ以下の戸籍をつけて被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に提出(郵送も可)します。
書類の記入に関して、原則として「代筆は認められない」ことに注意が必要です。
*(ただし、相続放棄を行う方の中にはご高齢であったり、ご病気の影響などでうまく字が書けない、という方もいらっしゃると思います。そういった場合は予め家庭裁判所に相談し、代筆の許可を貰うようにし、まちがってもご自身の判断で勝手に代筆を頼むようなことがないようにして下さい。)
・配偶者、第一順位相続人(子や孫)の場合
*子が居たが、死亡していてるために孫が相続人になった場合は子の死亡記載のある戸籍が必要になります。
・第二順位相続人(親)の場合
*被相続人に第一順位相続人(子や孫)が居たが死亡しているために親が相続人になった場合は、子や孫の死亡記載のある戸籍が必要になります。
・第三順位相続人(兄弟姉妹、甥姪)の場合
*被相続人に第一順位相続人(子や孫)が居たが死亡している場合は、子や孫の死亡記載のある戸籍が必要になります。
また、甥姪の場合は自身の親(被相続人の兄弟姉妹)の死亡記載のある戸籍が必要になります。
万が一、書類が足りなかったり、書類に記入漏れや書き間違いがあっても、裁判所は「書類が足りないので追加してください」とか、「この書類の○○という箇所は△△の間違いではないですか?」と連絡をしてきてくれる事が多いので、相続放棄手続きを自分で行うことは、実はそれほど難しくありません。
ご自身で手続きを行う場合に分からないことがあった場合は、裁判所や市役所に相談しながら手続きを進めていくことになりますが、平日は時間が取れない、説明を聞いたけど分からない、一切関わりたくない、という方は弁護士や司法書士に手続きを依頼することをご検討下さい。
しかしながら、相続放棄手続きを自分で行うことは、それほど難しくないというのは、あくまで3ヶ月以内に行う(期限内)相続放棄の場合です。
3ヶ月を越えて行う(期限超え)相続放棄の場合は、きちんと裁判所に事情を説明出来ないと、「このままでは不受理になりますよ」と言われるだけで、どう対応すればいいかは教えてもらえません。
そのため、期限越え相続放棄を検討されている方は必ず専門家に相談したうえで手続きを行うようにしてください。(解説動画はこちら)
相続放棄申述書を家庭裁判所に提出すると、およそ1週間から10日ほどで、自宅に「照会書」という書類が送られて来ます。(3ヶ月以内の相続放棄の場合は省略されることもあります)
照会書とは、相続放棄を受理するかどうかにあたり、裁判官が申述人(申し立てた人)に確認したい内容が記載されていて、照会書の回答次第では相続放棄が受理されない可能性も出て来てしまいます。
そのため、相続放棄手続きにおいては照会書が一番のハードルになると言っても過言ではありません。
ここでは、照会書の書き方について具体的に解説をしていきますが、照会書のひな型は各家庭裁判所で異なっているため、すべてを網羅的に解説することは出来ませんし、またみなさんそれぞれで相続に関する状況はさまざまですので、各質問に対する具体的な回答内容を記載することは出来ませんので、予めご了承ください。
まず、3ヶ月以内の相続放棄で聞かれる内容は、大まかに次のような内容になります。
・あなたは被相続人とどのような関係ですか?
→配偶者・子・親・兄弟姉妹など続柄を記入します。
・あなたが相続の開始を知った日はいつですか?
→被相続人の死亡を知った日を記入します。
・被相続人にはどのような財産がありますか?
→把握出来ている範囲のものを記入します。必ずしもすべての相続財産を調べ切る必要はありません。
・あなたはこれまでに被相続人の財産を消費・処分していませんか?
→「はい・いいえ」のいずれかで回答します。
・相続放棄を誰かに強要されたりしていませんか?(相続放棄することはあなたの本心ですか?)
→「はい・いいえ」のいずれかで回答します。
・他の相続人が相続する場合であっても、あなたは相続放棄しますか?
→「はい・いいえ」のいずれかで回答します。
以上が、3ヶ月以内の相続放棄で聞かれる主な内容になります。
ほとんどの質問が「はい・いいえ」で回答出来る内容になっていますし、質問数も5問以内であることがほとんどですので、それほど回答に困るという事はないと思います。
次に、3ヶ月を過ぎた相続放棄で聞かれる内容は次のようになります。。
・あなたは被相続人とどのような関係ですか?
→配偶者・子・親・兄弟姉妹など続柄を記入します。
・あなたが相続の開始を知った日はいつですか?
→被相続人の死亡を知った日ではなく、督促状が送られてきた等で被相続人に負債や資産があった事を知った日を記入します。
・被相続人にはどのような財産がありますか?
→把握出来ている範囲のものを記入します。必ずしもすべての相続財産を調べ切る必要はありません。
・被相続人の死亡当時、あなたは被相続人の財産についてどのように思っていましたか?また、なぜそのように思ったのですか?
→資産・負債それぞれについて「あると思った・ないと思った・分からない」を回答したうえで、なぜそのように思ったのかを文章で記入する必要があります。
・あなたはこれまでに被相続人の財産を消費・処分していませんか?
→「はい・いいえ」のいずれかで回答します。
・あなたの相続放棄申述は被相続人の死亡日から3ヶ月を経過していますが、なぜ3ヶ月を過ぎてしまったのですか?
→期限を過ぎて相続放棄を申し立てるに至った経緯を文章で記入します。
・他の相続人が相続する場合であっても、あなたは相続放棄しますか?
→「はい・いいえ」のいずれかで回答します。
以上が、3ヶ月を過ぎた相続放棄で聞かれる主な内容になりますが、3ヶ月以内の相続放棄とは違い、「はい・いいえ」だけでは回答出来ない内容が含まれ、質問数も多めになります。
3ヶ月以内の相続放棄であっても、3ヶ月を過ぎた相続放棄であっても、先述したとおり照会書の回答を間違ってしまうと相続放棄が受理されなくなってしまいますので、回答する際は十分に注意するようにして下さい。
また、当事務所ではどうしてもご不安な方のために照会書の回答サポートも行っていますので、行き詰ってしまった場合などはぜひご相談下さい。
未成年者は法律上、「制限行為能力者」と呼ばれ、未成年者単独で完全に有効な法律行為を行うことは出来ません。
たとえば、未成年者がスマートフォンを契約しに行った場合に保護者の同意書を求められる、というような事は、多くの方が経験されていることではないでしょうか。
では、未成年者が相続放棄をしたい場合は、どのように手続きすればいいのでしょうか。以下、父が亡くなり、その相続人が母であるAと未成年者Xであるケースについて解説します。
この場合、母Aが未成年者Xの法定代理人として、すべての手続きをXに代わって行います。
この場合、未成年者Xについて「特別代理人」の選任が必要になり、Xの相続放棄手続きは、選任された特別代理人が行うことになります。
特別代理人は、未成年者と法定代理人の利害が反する(利益相反)可能性がある行為をする時に選任する必要があります。
例えば相続放棄においては、「母Aがすべての財産を相続したいから未成年者Xに相続放棄させているのではないか?」という可能性があるために、特別代理人が選任されなければならないということです。
利益相反にあたるかどうかは、実質ではなく「形式的に判断」されますので、たとえば被相続人に負債しかなく、子どもに負担を負わせたくないという親心から未成年者だけ相続放棄させるような場合でも、特別代理人の選任が必要です。
以上が未成年者に法定代理人がいる場合の相続放棄手続きになりますが、「法定代理人がいない場合」はどうすればいいでしょうか。
未成年者の法定代理人がいなくなってしまうのは主に次のようなケースです。
未成年者の法定代理人がいなくなってしまった場合、本来はすぐに未成年者の法定代理人を決めるために「未成年後見人の選任手続き」や、生存している親に「親権変更手続き」等をするべきですが、私がこれまでお受けした相談では、残念ながらそのような手続きがなされていないケースもたくさんありました。
法定代理人がいない状況では、未成年者は相続放棄手続きをすることは出来ませんので、上記のような場合はまず相続放棄手続きに先立って、未成年後見人の選任や親権者変更の手続きが必要になります。
法定代理人選任手続きをしていると、被相続人の死亡から相続放棄の申立てまで、あっという間に3ヶ月の期限を過ぎてしまうことがありますが、このようなケースでは、法定代理人が就任した日が3ヶ月のスタート日となりますので、就任後すぐに相続放棄の申立てを行えば問題ありません。
当事務所では、未成年者の法定代理人選任に関するご相談もお受けしていますので、ご不明な点などがあればお気軽にお問合せ下さい。
相続放棄をした場合、その相続人は「初めから相続人ではなかった」とみなされることになりますので、被相続人の一切の財産を消費・処分してはいけないことになります。
被相続人の財産を消費・処分する行為は「単純承認事由」と呼ばれ(民法921条第1項)、以下のような行為を行うと相続放棄が出来なくなります。
反対に、相続放棄をする場合であっても以下のような行為は行うことが出来ます。
このように、相続放棄をする場合にはそれぞれ手続きを「してもいいのか?」、「してはいけないのか?」を判断する必要があります。
万が一相続放棄をしておきながら相続を承認する行為をしてしまった場合、債権者や利害関係にから裁判を起こされ、せっかくの相続放棄が無効になってしまうというようなことにもなり兼ねませんので、相続放棄を検討されている方は、出来るだけ何も手を付けない状態でお早めにご相談下さい。
被相続人の財産を消費・処分すると単純承認したみなされ、相続放棄が出来なくなることはご理解いただけたと思います。
しかしながら、積極的に財産を消費・処分していなくても、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったときにも単純承認したとみなされ、相続放棄が出来なくなってしまいます(民法921条第2項)。
この3ヶ月の期間は熟慮期間と呼ばれ、「相続するのか」または「相続放棄するのか」を考える期間になります。(*熟慮期間内であっても、積極的に被相続人の財産を処分・消費すればその時点で相続を承認したことになりますのでご注意下さい。)
熟慮期間が経過してしまうと、相続を承認したとみなされ、相続放棄が出来なくなりますので、相続放棄を検討されている場合はなるべく早めにご相談下さい。
熟慮期間は相続するのか、それとも放棄するのか(場合によっては限定承認をするのか)を選択するために与えられた猶予期間になります。
相続放棄を検討する方の中には、「明らかに負債の方が多いと分かっている場合」もあれば、「もしかすると負債があるかも知れない」という状況の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
相続財産が明らかに負債しかない場合、相続放棄を選択することは難しくありませんが、「もしかすると負債があるかも知れない」という場合はどのようにすればいいでしょうか。
このような場合、熟慮期間内に被相続人の財産調査を行うことになりますが、ここでは主に負債の調査方法について説明していきます。
被相続人の負債を調査するには、信用情報機関に照会する方法が一般的で、以下の3つの機関が存在します。
信用情報機関の中で、CICとJICCは重複して加盟している業者がほとんどですが、中には一方しか登録していない業者もありますので、必ず両方を調べるようにしましょう。
相続人から被相続人の信用情報の照会をする場合は、被相続人の死亡記載のある戸籍と、相続人の現在戸籍等、被相続人が亡くなっていることと、自身が相続人であることを証明するための公的な証明書が必要になりますので、予め取得しておくようにして下さい。(*負債の調査をすることは単純承認には該当しませんのでご安心ください。)
照会が受け付けられると、即日または数日で照会結果を受け取ることが出来ます。
照会結果と合わせて、照会結果の見方という書類ももらえますが、非常に分かりにくい書き方がされています(個人の感想です)ので、自分で見てみたけれども結局よく分からないというような場合はもちろん、負債調査自体を当事務所でお受けすることも出来ますので、ご不安な方はご相談下さい。
また、信用情報機関の調査では、連帯保証人になっている場合や、延滞を繰り返したため債権回収会社に債権譲渡されてしまっているような場合は調査結果に出て来ませんので、このような場合は専門家に相談することをご検討下さい。
相続が発生した場合、葬儀や役所での手続き、被相続人の身の回りの整理など、やるべきことはたくさんあり、熟慮期間の3ヶ月というのは意外とあっという間に過ぎてしまうものです。
では、熟慮期間中に相続財産の調査が終わりそうにない場合はどうすればいいでしょうか。
このような場合、管轄の家庭裁判所に相続の承認または放棄の期間の伸長を申立てることで、熟慮期間を伸長(延長)してもらうことが出来ます。
期間伸長の申立てにあたっては、申立書で「なぜ伸長が必要なのか」の説明を求められますが、おおよそ「相続財産の調査が間に合いそうにないから」というような内容を書いておけば、多くの場合は受理してもらえます。
伸長してもらえる期間は管轄や担当裁判官の判断で異なって来ますが、私の経験では1回の申立てにつき最長3ヶ月となることが多いようです。
伸長してもらった3ヶ月でも間に合わない(相続発生から6ヶ月)という場合、さらに期間伸長を申し立てることも出来ますが、2回目の申立てとなると、「伸長された期間に具体的にどこまで財産調査が進んでいるのか」などを説明しなければならず、当然1回目の申立てよりもハードルが高くなってしまいますので、相続財産の調査は速やかに行う必要があります。
また、現在のコロナ禍において、緊急事態宣言中は相続放棄の期間を猶予してあげるという措置は取られていませんのでご注意下さい。
相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述をしなければならない事は先述しましたが、ではこの「自己のために相続の開始を知った時」とは、具体的にいつを指しているのでしょうか?
端的に言えば、「被相続人が亡くなったこと」と「自分はその人の相続人であること」の両方を知った時となります。親子間の相続であれば両方同時に知ることがほとんどですが、次のように同時に知ることが出来ないような場合もあります。
たとえば被相続人が亡くなったことは知っていたが、被相続人には子がいるので親である自分は相続とは関係がないと思っていたような場合に子の全員が相続放棄をした場合などが代表例です。
このような場合、親である相続人にとっての「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、被相続人が死亡したことを知った日ではなく、「子の全員が相続放棄をしたので、自分が相続人になったと知った日」となり、その日から3ヶ月以内に相続放棄をする必要があります。
期限を越えた相続放棄であっても受理してもらえる可能性は十分にあります。
これは、「3か月以内に相続放棄をしなかったのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、このように信ずるについて相当な理由がある場合には、民法915条1項所定の期間は、相続人が相続財産の全部もしくは一部の存在を認識した時または通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当である。」(最高裁昭和59年4月27日判決)という判例が存在するためです。
また、上記の判例以外にも、「相続財産の存在は知っていたが、特定の人間が相続することになっていると信じていた場合」に相続開始の起算日をずらした判例や、「遺産分割協議に応じていた場合であっても、分割協議に際して負債の存在を知らされていなかったのであれば、当該遺産分割協議は無効であり、あらためて相続放棄をする余地がある」と判断した例もあり、期限を超えた相続放棄であっても受理されているケースは数多く存在します。
期限を越えた相続放棄手続きで何よりも大事な事は、いかに「自身のケースが上記の判例に当てはまっているといえるか」ということを、裁判官に説明出来るかどうかにかかっています。
このように聞くと「相続の発生から3ヶ月を経過してしまった相続放棄はやっぱり難しい手続きなんだ・・・」と思われる方もいらっしゃると思いますが、当事務所ではこれまでの経緯をお伺いしたうえで、相続放棄に必要な情報を簡潔にまとめた「実情書」を作成させていただきますので、何ひとつご心配いただく必要はありません。
きっと解決方法はあります。「自分の場合は無理だろう」と諦める前に、ぜひ一度ご相談下さい。(解説動画はこちら)
3ヶ月を過ぎた相続放棄相続放棄であっても受理される可能性はある、と聞いてもご自身の場合はどうなのか、ご不安な方もいらっしゃると思います。
ここではいくつか、実際に3ヶ月を越えた相続放棄であっても受理された例をご紹介します。
私がこれまで解決までサポートさせて頂いた例は以下のようなケースになります。
以上が3ヶ月を過ぎた相続放棄が受理された主な例になりますが、3ヶ月を過ぎて相続放棄をする場合、「資産や負債の存在を知った日」を疎明するために督促状や通知は必ずお手元に保管しておき、裁判所に資料として提出するようにして下さい。
また、何らかの理由で通知等を破棄されている方であっても、「人から「被相続人には借金があったらしいよ」と聞いた」(伝聞でそもそも通知がないケース)という内容で3ヶ月を過ぎて相続放棄が受理された例もありますので、諦める前にご相談下さい。
被相続人が亡くなったことや、先順位相続人全員が相続放棄した事を知ってから3ヶ月以内に相続放棄の申立てをした場合であっても、期限を越えた相続放棄として扱われてしまうケースがあります。
例えば、被相続人が1月1日に亡くなり、相続人として「子」が居たとします。
そして、何らかの事情で被相続人と「子」は長年音信不通だったとしましょう。
当然、「子」は被相続人が亡くなった事すら知らずに生活していたのですが、5月1日に債権者から被相続人がなくなったことを知らせる書面が届き、すぐに相続放棄の申立てをしました。
このケースでは、「子」が相続の開始を知った日は5月1日ですので、そこから3ヶ月以内に相続放棄の手続きをすれば問題ありません。
しかしながら、裁判所は被相続人と「子」が長年音信不通だった事情など知りませんので、「なぜ被相続人の死亡日から3ヶ月を越えているのですか?事情を説明してください」となり、「子」としては3ヶ月以内に相続放棄の申立てをしたにもかかわらず、裁判所には期限を越えた相続放棄と扱われてしまう事があります。
では、事例を変えて被相続人が1月1日に亡くなり、相続人として「子」「親」「兄弟姉妹」が居たとします。被相続人が亡くなったことは当日全員が知りました。
そして、「子」が3月1日に相続放棄が受理されているにもかかわらず、親族間の付き合いがなかった、関係が良くなかった事などから、そのことを次順位相続人である「親」に一切連絡をしなかったとしましょう。
当然「親」は先順位相続人の「子」が居るため、相続とは無関係だと思っていたところ、7月1日に債権者から「子が放棄したので、あなたが相続人です」という通知が届き、すぐに相続放棄の申立てをしました。
このケースでは、「親」が相続の開始を知った日は7月1日ですので、そこから3ヶ月以内に相続放棄の手続きをすれば問題ありません。
しかしながら、裁判所は「子」が「親」に相続放棄が受理されたため「親」が相続人になったことを知らせなかった事情など知りませんので、「なぜ「子」の放棄が受理されてから3ヶ月を越えているのですか?事情を説明してください」となり、ここでも期限を越えた相続放棄として扱われてしまう事があります。(次順位相続人が兄弟姉妹の場合も同様です)
このように、裁判所は最初に相続人となった相続人については「被相続人の死亡日から3ヶ月を越えていないか」、次順位相続人については「先順位相続人の相続放棄が受理された日から3ヶ月を越えていないか」で期限内の相続放棄か、期限を越えた相続放棄かを形式的に判断しています。
このようなケースでは、期限を越えた相続放棄と判断されないように、簡単に相続開始を知った経緯をまとめた上申書や、参考資料として債権者から届いた通知などを申述書と合わせて提出する事で、期限内の相続放棄と判断してもらえる事がありますが、あくまで裁判官が判断する事であり、資料を付けたから必ず期限内相続放棄と判断してもらえるわけではありません。
相続の開始があった事を知ってからは3ヶ月以内であっても、「被相続人の死亡日」や「先順位相続人の相続放棄受理日」から3ヶ月を越えているような方は、ぜひ一度ご相談下さい。
相続人が相続放棄をした場合、相続財産はどうすればいいのでしょうか。
民法940条は「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもってその財産の管理を継続しなければならない」と定めています。
少し分かりにくい表現ですが、まず、「法定相続人」のところで、子・親・兄弟姉妹にはそれぞれ相続の順位が決められていることはすでに説明をしたとおりです。(法定相続人へ)
被相続人に子・親・兄弟が居た場合、まずは子が相続することになります。この場合「子の全員」が相続放棄をしてはじめて第二順位である親が相続することになります。
この例で条文中の「その放棄によって相続人となった者」とは、親のことを指しています。つまり、先順位相続人が全員相続放棄をしたことによって相続することになった次順位の相続人が「その放棄によって相続人となった者」となるわけです。(同じように親全員が相続放棄をすれば兄弟姉妹が相続人となります。また、子の全員が放棄して既に親が居ない場合は第二順位を飛ばして第三順位の兄弟姉妹が相続することになります)
次に「相続財産の管理を始めることができるまで」とは、どのような状態のことを言うのでしょうか。
簡単に言えば、相続財産を引き渡せば「管理を始めることができるようになった」という状態になります。具体的に預貯金や現金であれば現物を引き渡し、不動産であれば鍵を引き渡すことでようやく相続放棄をした相続人は財産の管理から逃れることが出来るようになります。
しかし現実には次順位相続人が引き渡しに応じてくれないなどの問題が発生することもあり、そのような場合は相続放棄をした後であっても、自己の財産におけるのと同一の注意(必要最低限)の管理をしていく必要があります。
必要最低限の管理とは、財産の種類によって異なりますので、ご不安な方はご相談下さい。
相続人が相続放棄をした場合、被相続人が残した資産や負債はどのようになるのでしょうか。
法定相続人と法定相続分で解説したとおり、相続には順番が決められていますので、ご自身が相続放棄をしたあと、次順位相続人(親やきょうだい)が居る場合、相続権は親またはきょうだいに移ることになり、相続財産の処分はその方にお任せすることになります。
では、親やきょうだいも含めて相続人全員が相続放棄した場合はどうなるのでしょうか。
この場合、法的には相続人が一人も存在しないことになりますので、被相続人が残した資産や負債には一切誰も手を付けられないことになりますが、被相続人が不動産や自動車を所有していた場合、ずっとそのまま保管しておくこと(管理義務)が難しく、何とか処分したいというケースも出てきてしまいます。(管理義務にご注意くださいへ)
このような事態に備え、民法918条2項は「相続財産管理人」という制度を設けています。
相続財産管理人とは、簡単に言えば「被相続人の資産をすべて換価し、負債を弁済すること(相続財産の清算)」が主な役割になります。
負債を弁済してもなお現金が残る場合は国庫に帰属することになりますが、現実には圧倒的に債務超過(負債の方が多い)のケースが多く、このような場合は債権額に応じて各債権者に按分配当し、残った負債は放棄してもらうことになります。
相続財産管理人選任の申立ては、利害関係人である債権者から行うことも可能ですが、通常、債権者は被相続人にどのような資産があるかは把握していませんし、相続開始後に調査するようなこともありませんので、消費者金融やクレジット会社など「担保を持っていない債権者」しかいない場合、債権者から相続財産管理人の選任申立てが行われることはほぼ皆無です。(*住宅ローン等で不動産に抵当権が付いている場合は申立てをしてくるケースもあります。)
相続財産管理人を選任すれば、全ての相続財産を清算して管理義務からも解放されることになりますが、以上のように債権者から申立てをしてくるケースは少ないため、積極的に残された財産を処分したいという場合は、相続人側で申立てを検討する必要があります。
相続財産管理人選任の申立てをするには「予納金」(数万円~100万円程度)を納める必要がありますが、債務超過の場合等は手続きが終了しても予納金が返って来ないケースもありますので、申立てる実益がどこまであるかは事前に十分検討する必要があります。
これから相続放棄をされる方、既に相続放棄が受理されている方の中には、債権者から督促が来ていてどう対応すればいいか悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、債権者への対応方法について、「これから相続放棄をする場合」と「既に相続放棄が受理されている場合」に分けてご説明いたします。
・これから相続放棄する場合
まず、督促状の宛名をご確認下さい。「〇〇〇〇さま(被相続人の名前)」で督促が来ている場合、債権者は被相続人が亡くなったことをまだ把握出来ていない状態です。
このような場合、まずは債権者に連絡し、相続放棄を検討していることをお伝えください。
ご自身で債権者に連絡をすることに抵抗がある場合は、当事務所から連絡することも可能です。
債権者に被相続人が亡くなったことを伝えると、死亡届の写しや、死亡記載のある戸籍の写しの提出協力を求められることがありますが、これは応じても何ら問題はありません。
また、債権者からは「相続放棄が受理されたら、相続放棄申述受理通知書の写しを提出して下さい」と求められますが、これも応じて問題ありません。
むしろ、ずっと受理通知書を送らなければ、債権者は「実は相続放棄していないのでは?」と判断し、「状況をお知らせください」といった内容の書面が届くことがあります(あまりに長期間放置してしまうと、相続人宛に督促が開始されてしまうこともあります)ので、相続放棄が受理された場合は、速やかに債権者に受理通知書の写しを提出するようにして下さい。
他方で、債権者からの通知の宛名が「○○○○さま(被相続人の名前)ご相続人さま」と書かれている場合は、既に債権者は被相続人が亡くなったことばかりでなく、相続人が存在することまで把握している状態です。
このような場合は、督促状ではなく「相続に関するお伺い」という書面が届くことが一般的ですが、この場合も同じように債権者に連絡し、相続放棄することをお伝えください。
ここでも長期間放置してしまうと、相続人宛に督促が開始されてしまうことや、最悪の場合は訴状が送られてくるようなこともありますので、速やかに対応するようにして下さい。
・既に相続放棄が受理されている場合
既に相続放棄が受理されている場合は、債権者に連絡し、相続放棄申述受理通知書の写しを提出して下さい。
裁判所から自動的に債権者に「相続放棄しています」という通知が行くことはありませんので、必ずご自身で対応するようにして下さい。
以上のように相続放棄をする場合、債権者には適時連絡をする必要がありますが、連絡をしたからと言って「お支払い下さい」、「相続放棄なんて認めませんよ」などということは絶対にありませんので、ご安心ください。
被相続人が残した負債が原因で相続放棄を検討している方の中には、「相続放棄よりも時効援用をした方がいいのでは?」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どちらも認められれば「被相続人の負債を払う必要がなくなる」という点では同じですが、相続放棄は全ての債権者に対して効力を持つのとは違い、消滅時効の援用は、各債権者ごとに個別に手続きしないといけないという点で大きく異なります。
また、消滅時効の援用を選択される場合、いくつか注意しなければならない点がありますので、順に解説していきます。
まず、借金の消滅時効とは、「最終の取引(借入れまたは返済)から5年(信用金庫や保証協会など、一部の借入等は10年)以上、裁判上の請求を受けていない場合」に、援用(私の借入れは既に時効ですので、これ以上支払いませんよ、と債権者に通知)することではじめて効果が生じます。
つまり、最終の取引から裁判上の請求も受けることなく5年や10年が経ったからと言って、自動的に返済しなくてよくなっているわけではありませんのでご注意下さい。
被相続人が負債を残して亡くなった場合、取引や請求の状況は、そのまま相続人に引き継がれますので、要件を満たしている場合は、相続人から時効援用をすることも可能です。(相続が発生してから5年や10年待つ必要はありません)
また、消滅時効は以下のような手続きがなされると「完成猶予(更新)」といい、5年や10年の期限が延長されたり、リセットされてしまいます。
以上のような行為がある場合は、「時効援用が可能だ」と思っていても、実は延長・リセットされていたという事になりますが、数多く相続放棄のご相談をお受けしていると、被相続人から「時効だと聞いていた」、「裁判を起こされたことはないと言っていた」という方がいらっしゃいますが、残念ながら被相続人が家族・親族間のトラブルを嫌って事実に反することを伝えている場合もありますので、相続人から消滅時効の援用をする場合は、十分に注意する必要があります。
では、相続人から行った時効援用が失敗した場合はどうすればいいでしょうか。
「時効がダメだったら相続放棄をすればいい」と考えてしまいそうになりますが、そもそも消滅時効の援用をする事は、「自分自身に負債があると認める行為」(債務の承認)にあたりますので、時効に失敗したからと言って相続放棄をすることは出来なくなります。
そのため、「どうしても相続したい財産がある」という場合以外は相続放棄を選択する方が安心ですが、ご自身だけの判断だけでは不安だという方はぜひご相談下さい。
相続放棄をする相続人にとって、被相続人名義の自動車をどうするかは非常に悩ましい問題です。
自動車をどのように扱っていくかは、「ローンが残っているかどうか」、「財産的価値があるかどうか」などによって対応が変わってきますので、以下をご参考にして下さい。
・ローンが残っている場合
ローンが残っている場合は「車検証の名義が誰になっているかに関わらず」、必ずローン会社に連絡して判断を仰ぐようにして下さい。
自動車に十分な価値が残っている場合、契約条項に基づいてローン会社が車を引き上げに来ることがありますが、相続放棄をする場合はローン会社に持って行ってもらうのが最も簡単でリスクも少なく、理想的と言えます。
他方で、ローンが残っていない場合についてですが、この場合は自動車に「財産的価値があるかどうか」がポイントになります。
・財産的価値がある場合
この場合、民法940条(管理義務)に基づいて次の相続人に引き渡すことが出来るようになるまで自動車を保管する必要があります。
たとえ短距離であっても自分の用事のために使ってしまうと、単純承認事由に該当し、相続放棄に影響する可能性がありますので、十分な注意が必要です。
では実際に「どのように保管すればいいのか」ですが、自分の用事のために使う事が出来ない以上、駐車場で保管しておくしかありません。
駐車場を借りるなどして費用がかかってしまった場合でも、その出費は「自己の財産におけるのと同一」の管理費用として相続人が負担しなければならない可能性が高いようです。
次に、「いつまで保管しなければならないのか」ですが、これは民法940条に従い、次に相続人となった者に引き渡すまでか、債権者(ローン会社以外も含む)が競売にかけて換価してくれるまでとなります。
しかし、実際には債権者が自動車を競売にかけてくれるケースは非常に稀になりますので、そのような場合は相続人全員が相続放棄したうえで相続財産管理人を選任し、管理人の処分に委ねるという方法を取ることになります。
・財産的価値がない場合
被相続人の所有物であっても、財産的価値がないものを処分することは単純承認事由に該当しないため、相続放棄には影響がありません。
価値のない自動車を処分する方法としては、複数の業者から0円の査定書を取ったうえで廃車する方法などが考えられますが、後から債権者とトラブルになる可能性はゼロではありませんので、価値のない自動車であっても相続財産管理人を選任し、処分してもらうことが望ましいと言えます。
被相続人が生前賃貸住宅に住んでいた場合で、家主から早急に明け渡しをするよう求められている場合、これも相続放棄をする相続人にとって非常に悩ましい問題です。
まず大前提として、賃貸借契約は借主の死亡では効力を失わず、相続の対象となります。したがって、相続する場合であれば明渡しや賃料の支払い請求に応じなければなりません。
しかしながら、賃貸借契約そのものが相続の対象である以上、相続放棄をすれば家主からの明け渡しや賃料の支払い請求に応じる必要はありません。
家主は賃貸業を営む会社(法人)である場合もあれば、収益物件を運用している個人である場合もありますが、相続放棄する場合は出来るだけ早く家主に「相続放棄するので一切対応出来ない」という旨を伝えるようにしましょう。
相続放棄すると伝えている以上、家主としてはそれ以上相続人に対して何らかの協力などを求められないのが本来なのですが、残念ながらそれでも色々と言ってくる家主さんは少なからずいらっしゃいます。
私がこれまでにご相談を受けたケースでは、主に以下のような事を求められるケースが多いようです。
もちろん相続放棄をする場合、これらはすべて応じる必要はありませんが、中には「これ以上迷惑を掛けたくない」という理由で、家主の申出に出来る範囲で応じたいと考えられる方や、家主側も一歩も譲らないため困り果てている、というような方もいらっしゃるのではないでしょうか。
家財道具の処分や、賃貸借契約の解除などは場合によっては「単純承認事由」に該当し、相続放棄に影響してしまうことがありますので、家主から何かを求められている場合や、「相続放棄する」と伝えているにも関わらず頻繁に家主から連絡が入るような場合は、出来る限り専門家に相談のうえ対応するようにしましょう。
被相続人が個人事業主であった場合、通常の相続放棄と比べていくつか注意すべき事があります。
まず、個人事業主が事業に用いていた備品などは、すべて被相続人個人の財産と扱われますので、相続放棄しようとする相続人は、被相続人が生前営んでいた事業を引き継ぐことはもちろん、備品などを使う事も認められません。
たとえば、親の仕事を手伝っている中で親が亡くなり、子が後を継ぐということはよくある事ですが、相続放棄する場合はあくまで相続人が新たに必要なものを揃えて開業届を提出し、新規に事業を営んでいく必要があります。
また、相続放棄する場合は被相続人の廃業届を提出する事や、確定申告をする事も出来ませんのでご注意ください。
以上のように、個人事業主の相続放棄をする場合、事業に関する事には一切手を付けられないという事になりますが、残された備品などはどうすればいいのでしょうか。
これは被相続人がどのような事業を営んでいたかによって大きく異なる事になります。
たとえば、私のように個人事務所で司法書士をしている場合は、事業用の備品と言っても、せいぜいパソコンや複合機、本棚と書籍程度しかありませんので、相続人が保管出来る程度の備品であれば民法940条に基づき管理をしていくことになります。
しかし、たとえば被相続人が飲食店を営んでいた場合は厨房機器や食器、テーブルなど、とても相続人が保管していく事が出来ないような大型の備品が残されてしまいます。
店舗が自身の所有する物件であったのであれば、そのままそこに保管する事も可能ですが、賃貸であった場合は賃料を払わなければ退去を迫られ、備品の処分に困ってしまう事になります。
このような場合、原則として相続人全員が相続放棄した後に相続財産管理人を選任し、店舗の明け渡しまで含めて管理人に処分をしてもらう事になります。
相続財産管理人の選任には、時間も費用も掛かっていしまいますが、備品を引き取って保管する事が出来ないからと言って、安易にリサイクル業者に売却してしまう事は、単純承認事由に該当する可能性がありますので、必ず専門家に相談してから対応するようにして下さい。
被相続人が個人事業主であった場合も通常の相続放棄と比べていくつか注意すべき事があります。
個人事業主の場合と違い、法人(会社)の財産は法人が所有しているため、相続放棄をするからといって即座に会社の営業をストップしなければならないということはなく、被相続人がその会社の株式を所有していない場合は、通常通り相続放棄をすれば問題ありません。
しかし、株式は被相続人の財産として相続の対象となるため、被相続人がその会社の株主であった場合に相続放棄をすると、その株式について議決権を行使することが出来る株主が居なくなってしまうため注意が必要です。
法人代表者の相続放棄を考えられる方の多くは、法人代表者である被相続人が一人で100%すべての株式を持っているケースが多いようですが、可能であれば被相続人がどれぐらい株式を所有していたのかをご確認下さい。
では、議決権を行使出来る株主が居なくなった場合、どのような不都合が生じるのでしょうか。簡単に株主総会決議の要件を見てみましょう。
(株主総会に)総議決権の過半数を有する株主が出席し、「出席株主の議決権数」の過半数の賛成が得られること。
(株主総会に)総議決権の過半数を有する株主が出席し、「出席株主の議決権数」の3分の2以上の賛成が得られること。
株主総会の決議要件には例外がある場合(会社が定款で要件を緩和している場合)もありますが、一般的に被相続人が51%以上の株式を所有していた場合、相続放棄をするとその会社の「新たな役員を選任すること」も「会社を解散すること」も出来なくなってしまいます。
事業を継続する場合は,、新たな役員(代表取締役)を選任しないと金融機関から借入れを受けたり、取引先と契約することすら困難になってしまいますし、反対に誰も後を引き継がないため会社を解散させようとしても解散決議が出来ず、事実上、会社は身動きが取れない状態に陥ってしまいます。
このような不都合を回避するためにはいくつか方法があります。
まず、「会社を継続させたい場合」は
①相続人全員が相続放棄したうえで、相続財産管理人の選任申立てをし、相続財産管理人に株式の売却をしてもらい、新たな株主を迎え入れる。(この場合、必ず相続人が株式を買い取れるという保障はありません)
②限定承認をして、相続人が先買権行使をして被相続人の株式を買い取る。(株式が第三者の手に渡ってしまうことを防止できます)
次に、「会社を継続しない場合」は、相続人全員が相続放棄したうえで、相続財産管理人の選任申立てをし、相続財産管理人に会社の清算をしてもらうことになります。
会社を解散させる場合であっても限定承認をして、相続人側で清算手続きを行っていくことも出来ますが、場合によってはかなりの手間がかかりますので、実益はないと思います。
以上のように、法人代表者であった被相続人がその会社の株主でもあった場合、会社を継続するかしないかで手続きが異なって来ますし、法人代表者を取り巻く法律関係は複雑である場合が多くあります。
ここでは、法人代表者であった被相続人以外に代表取締役が居ない会社を想定した説明をさせて頂いていますが、会社の形態は千差万別ですので、ご自身の場合はどうなるか、少しでもご不明な点がありましたらぜひ無料相談をご活用下さい。
被相続人が個人事業主であった場合や、法人経営者であった場合、相続人である親族(主に配偶者や子)が連帯保証人になっている場合があります。
事業や会社の規模にもよりますが、おおまかに言えば、事業の規模が小さければ小さいほど、親族が連帯保証人になっている場合が多いようです。
では、連帯保証人である相続人が被相続人の死後、負債の支払いを免れたい場合はどうすればいいのでしょうか。
このような場合、相続人は「相続人として負債を弁済する義務」と「自身の保証債務として弁済をする義務」の2つの義務を負う事になります。
相続放棄をすれば、「相続人として負債を弁済する義務」は免れることが出来ますが、「自身の保証債務として弁済する義務」を免れることは出来ませんので、どうしても返済が難しい場合は自己破産をはじめとした債務整理手続きをする必要が出てきてしまいます。
では、こういったケースでは相続放棄をする意味はないのでしょうか。
たしかに、「相続放棄をしても、どうせ連帯保証人として支払いをしなければならない」のでは、全部まとめて自己破産すればいい、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ここには落とし穴が存在します。
具体的には、「租税等の債権」(主に所得税や事業税などの○○税と呼ばれるものや、国民健康保険料、国民年金保険料など)は破産法253条1項の規定により、非免責債権(自己破産しても返済しなければならない債権)となり、これらの負債は相続放棄をすることでしか返済義務を免れることは出来ないのです。
そのため、相続人が連帯保証人となっている場合は、「被相続人がどのような負債を残して亡くなったのか」を調べることがとても大切になります。
ある程度の事業規模であった場合は、相続財産の調査が3ヶ月以内に終わらない可能性もありますので、こういった場合は熟慮期間の伸長も視野に対応していく必要があります。
このように、相続人が連帯保証人となっている場合は、慎重な判断を迫られることがありますので、必要に応じて専門家へ相談されることをお勧めします。
相続人が生活保護を受給している場合、相続放棄をすることは可能なのでしょうか。
これは生活保護が、なんらかの事情で自身で収入を得ることができない(または生活するには不十分な収入しか得られない)方を保護するための制度であることから問題となります。
そもそも相続とは、形式的にはプラスの財産を得る機会であり、プラスの財産を得られる以上、その範囲においては支給を減額したり、一時停止しなければなりません。
生活保護を支給している福祉事務所は、被相続人にどのような財産があるのかを把握出来ませんので、相続が発生→プラスの財産が得られる→「相続放棄は認められません」と形式的に判断されてしまうため、原則として生活保護受給者は相続放棄ができないことになります。
しかしながら、これはあくまで「原則として」であり、以下のような場合は例外的に相続放棄をすることが可能になります。
上記のケースに当てはまる場合は、生活保護受給者であっても相続放棄をすることが可能ですが、受給者と福祉事務所で「例外にあてはまるかどうか」の判断が異なることがありますので、ご自身だけで判断をせず、必ず事前にケースワーカーに相談するようにして下さい。
当事務所ではケースワーカーへの事情説明なども行わせて頂いておりますので、ご不安な方はぜひ一度ご相談下さい。
相続には「単純承認」と「相続放棄」のほかに、「限定承認」という制度が存在します。
相続放棄が年間20万件以上申立てられているのに対して、限定承認は年間700件程度しか申立てされておらず、取り扱う事務所も少ないため、あまり一般には知られていない手続き、というのが現状です。
では、限定承認とは具体的にどのような手続きで、どういった場合に検討した方がいいのか、相続放棄と比較してを見ていきましょう。
まず、相続放棄をすると「はじめから相続人ではなかった」とみなされることから、相続放棄した場合、相続財産を処分することは出来ません。
これに対し、限定承認は相続を承認し、相続財産を清算することが目的となりますので、相続財産を処分することが可能になります。
相続財産の清算とは、被相続人の預貯金や手持ちの現金以外の不動産や自動車などをすべて売却・換金し、相続債権者に弁済することを言います。
相続財産を清算した結果、余りが生じれば各相続人が法定相続分に従って相続をすることが可能になります。
反対に、負債の方が多かった場合であっても、各相続債権者の債権額に応じて按分弁済をすることで限定承認手続きは終了し、相続人自身の財産から弁済する必要はありません。
以上の手続きは、実は相続人全員が相続放棄し、相続財産管理人の選任を申し立てた場合と同じなのですが、相続放棄の場合、相続財産の清算は、相続財産管理人の選任申立てをし、管理人に任せることになりますが、限定承認では相続人の中から相続財産管理人を選任し、相続人側で清算手続きを進めていくことになるという点で違いが生じることになります。
ただ実際に相続人側ですべての相続財産の清算手続きをすることは煩雑で、時間や知識が必要となることも多いため、相続人から依頼を受けた弁護士や司法書士がそのまま清算手続きを代理で行っていくことがほとんどです。
相続放棄が家庭裁判所への申述だけで終了することと比べ、限定承認は多くの場合がその後の清算手続きも委任することになりますので、限定承認の場合は少なくとも数十万単位でお金がかかります。
しかしながら、相続財産の清算にかかる費用は「共益費」(すべての債権者のためにしてあげた行為なので、弁済に先立って相続財産から支払いを受けることができる)として、ある程度財産がある場合には相続人の手出しは発生しないこともあります。
また、限定承認には「先買権(さきがいけん)」という制度があるため、相続財産のうち、自宅や自動車などどうしても手放したくない財産があるというような場合には、鑑定人の評価を受けたうえでその財産を買い取ることが出来ます。
この点、相続放棄の場合に相続財産を買い取るには相続財産管理人との調整、家庭裁判所の許可が必要となることから、「確実に相続財産を買い取ることができる」とは言い切れないため、限定承認を選択するメリットが出て来ます。
では、どのような場合に限定承認を検討した方がいいのか、一般的には
などの場合には限定承認を選択するメリットがあると言われます。
当事務所でも限定承認に関する無料相談をお受けしていますので、手続きについてもっと知りたい、そもそも限定承認をした方がいいのかどうかの判断が出来ない、といった場合はお気軽にご相談下さい。
相続登記が義務化されますで解説したとおり、2024年をめどに相続登記が義務化されることとなりました。
今回の法改正では、改正法施行日までに発生している相続不動産も対象となるため、すでに相続が発生している方も遅くとも改正法施行日から3年以内に何らかの対応を取る必要が出て来ます。
とはいえ、中には今回の法改正の報道を機にはじめて相続財産(不動産)があったことを知らされたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
3ヶ月の期限を越えた相続放棄は認められる?でも解説しているとおり、「これまで相続財産が全くない」と思っていた相続人は、相続財産の存在を知った日から3ヶ月以内に相続放棄を申述することが可能です。
具体的には、
など、相続発生からこれまで、被相続人が不動産を所有していることを知りえなかったなどの事情がある場合は、相続財産(不動産)の存在を知った日から3ヶ月以内に相続放棄を申述できる余地があります。
対象の不動産が空き家になってしまっている場合などは、管理責任の問題が出てきてしまいますので、突然不動産を相続していると聞かされてお困りの方はぜひ無料相談をご検討下さい。
相続登記の義務化に先立ち、令和5年4月27日から相続土地国家帰属制度の運用が開始されます。
相続人の中にはこの制度を利用したい、と考えている方もいらっしゃるかとは思いますが、この制度を利用して土地を手放すにはかなりハードルが高く、費用も労力も求められることになります。
また、相続放棄との関係でもっとも注意しなければならないことは、相続土地国庫帰属制度を利用するにはまず相続登記(相続の承認)を行う必要があるため、国庫帰属請求が却下や不承認になった場合に相続放棄をするという事は認められない、という事です。
そのため、不動産を相続してしまった場合、どのように対応するのが最善策なのかは慎重に検討する必要があります。(相続土地国庫帰属制度についてはこちら)
期限を越えた相続放棄には、一定の知識と経験が必要です。
これは、どういった場合が上記の判例に当てはまると言えるのか、また場合によっては複数の相続放棄をしなければ問題解決に至らないことがあるなど、慎重な判断を求められる手続きだからです。
相続放棄を扱う事務所は弁護士、司法書士を含めて法人事務所、個人事務所とたくさんあり、中には法人事務所に頼んだ方がなんとなく安心だと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに法人事務所は従業員がたくさん居て、いつ電話しても誰かが応対してくれる、という面では安心感がありますが、法人事務所の全員が資格を持っているわけではありませんし、中には、資格者は一切書類に目を通すことすらないような事務所も存在します。
また、こうした事務所の中には残念ながら売上重視で、「相続放棄のチャンスは一度きりですよ」「絶対に失敗できない手続きですよ」と執拗に相談者の不安をあおるような事務所もあるようです。
相続放棄の手続きで最も大切なことは、「相続放棄をした後にどのようなリスクがあるか」をしっかりと確認することです。
失敗できない手続きだからこそ、「資格を持ち、経験を積んだ専門家に直接依頼すること」が何よりも大切です。
当事務所では、相続放棄に関するあらゆるお悩みについて、全国対応で無料相談を実施しています。
無料相談では、相続放棄についての一般的な事だけでなく、出来る限りご相談者さまの現状をお伺いしたうえで、個別具体的な対応方法をご案内させていただく事で、少しでも解決に向けた希望を見出していただける時間となるようご対応させていただいております。
現在、インターネット検索をすると相続放棄に限らず、さまざまな分野で弁護士、司法書士、税理士など士業事務所の「無料相談」という見出しが出て来ます。
私が無料相談で皆さまにお約束したいのは、「ご理解、ご納得いただけるまでご説明差し上げる」ということです。
その分野を専門にする士業である私たちにとって「当たり前のこと」でも、ご相談者さまにとっては「初めて聞く事ばかり」かも知れません。
そのため、無料相談の場で何かを決めて頂く必要はありませんし、気になった事はあとからご質問を頂くことや、他の事務所にセカンドオピニオンを求めに行かれることは、ご必要と感じられればぜひ行っていただきたいと思います。
ご相談の内容に制約はございませんが、多くのご相談者さまにご対応をさせていただくため、どうしても「時間の制約」(おおよそ1時間)だけは出てきてしまいます。
そのため、ご相談をいただく際は出来る限りの資料(債権者からの通知等)をお手元にご用意いただき、少しでも不安や疑問に思うことはすべてお伝えいただければと思います。
期限内相続放棄 相続人お一人につき ¥52,800(税込)
期限越え相続放棄 相続人お一人につき ¥107,800(税込)
*上記費用には戸籍収集代・印紙代等の実費が含まれています。
*ご契約時に申立て期限まで1ヶ月を切っている場合、特急申立て料金として別途11,000円(税込)が必要になります。
*対象の被相続人が兄弟姉妹・叔父・叔母の場合は第三順位加算として別途33,000円(税込)が必要になります。
*上記費用には、債権者への対応は含まれません。
*単純承認該当事由(遺産分割協議をしている等)がある方は、別途11万円(税込)が必要になります。
*再転相続放棄の費用は一次相続、二次相続につきそれぞれ期限内または期限越え相続放棄の該当する報酬を加算したものに、一律55,000円(税込)を加えた金額となります。
STEP1 お問い合わせ・相談日時予約
お電話・メール・LINE(ID:kawasaka4600)よりお問い合わせを頂いた方へ、相談予約のご連絡をさせて頂きます。(状況によって即時相談も可能です)
STEP2 ご相談
ご予約の日時にご連絡差し上げます。初回の相談は1時間を予定しておりますので、ご不明な点は何なりとお尋ね下さい。(*お手元に債権者からの通知等をご用意頂けますと、スムーズなご相談が可能です。
STEP3 ご契約およびご入金
ご依頼頂いたお客さまへ「契約書類一式」および「請求書」をお送りさせて頂きます。
契約書類が当事務所に到着し、不備がない事が確認出来ましたらご連絡させて頂きますので、費用のお振込みをお願いいたします。合わせて契約書控えを発送させて頂きます。
STEP4 戸籍収集・裁判書類作成
ご入金の確認が取れ次第、戸籍の収集、裁判書類の作成に着手させて頂きます。
書類の作成が完了するまでは、おおよそ1ヶ月ほどお時間がかかります。(*申立て期限の関係上、後からお申込み頂いたお客さまのお手続きを優先させて頂くことがございますので、予めご了承下さい。)
STEP5 申立のご連絡
裁判所に書類を提出する準備が整いましたら、申立てのご連絡をさせて頂きます。(*相続放棄の期限3ヶ月はこのSTEPが完了すればクリアとなります。)
STEP6 照会書の到達と当事務所への送付
お客さまのご自宅に、裁判所から「照会書」という質問事項が書かれた書類が届きます。
質問に対する回答は当事務所にて作成いたします(STEP7)ので、何も記入せずにコピーを郵送またはFAX・メール等で当事務所までお送りください。
STEP7 照会書回答見本作成・発送
当事務所にて作成致しました「照会書回答見本」をお送りさせて頂きます。(メールでの対応も可能ですので、ご希望の際はお申し付け下さい。)
STEP8 照会書を裁判所に返送
お手元に届いた「回答見本」を見ながら、原本に直筆でご記入下さい。
記入が完了致しましたら、裁判所から送られて来た返信用封筒に入れて投函して下さい。
STEP9 受理通知書の到着と当事務所への送付
STEP8からおおよそ2週間ほどで、ご自宅に裁判所から「受理通知書」が送られて来ます。(*この通知をもって、相続放棄が認められたことになります。)
申立内容に間違いがないかどうかの確認が必要になりますので、STEP6同様にコピーを郵送またはFAX・メール等で当事務所までお送りください。
STEP10 お手続き終了
当事務所にて、受理通知書の確認が取れましたら、お手続きが終了となります。
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